スランプと自己崩壊、踏み込めない自分

撮るべきものを撮る、これは時間も読めるし、安定して撮る自信はある。
撮影のスタイルは、とにかく例になる写真を探して、その写真を撮る方法を分析する。
直感派でないし、感性で撮れる方ではない。

頭の上に枕をのせて、暗闇を作ると冷静に分析ができる。光と、影と、形、
欲しい柔らかさはどの程度、明瞭さは、さらに、空気感はどうする。
色温度は補正するのか、雰囲気を出すのか、

言葉で書くとこの程度だけど、実際にはものすごく膨大なマトリックスが形成されている。

こうすることで、セッティングに15分、撮影5分の20分で完了する。

泡はどの程度の細かさで、どんな抹茶色をして欲しいのか、茶器の鱗粉色はどの程度光らせるのか、
すべて頭に描いたものに近づける作業。
バックの和紙の明るさも、ぺったりせず、文字とマークが入る左上を明るくして、重苦しくないように。

これ、調べと、頭の中での組み立てで、まる一日かかっているんです。スタジオでは20分のことだけど。
これがわかってもらえないと、手抜きをしているように思われてしまうし、簡単なことのように思われる。

この部分の悩みも悩みであれば、実際の作業で、さらに詰めて、さらに美しい表現ができるのではないかと心配になる。
描いた絵面がしょばいのであって、自分の求めていった部分が甘いのではないか。

もっと踏ん張って、一時間がんばれば、いや、24時間苦しめば、もっと素晴らしいできになるのでは?
と悩みだし、不安になり、一人でいると悪い考えがぐるぐるしてくる。

まだ悶え足りないのか、まだ集中力が不足しているのか、けっこう苦しい時間が続く。